【空中ディスプレイ】ホントに 浮いている!

最近たまにニュースで見る【空中ディスプレイ】って、実際に見たことありますか?


空中ディスプレイ、若しくは 空中浮遊リモコンといった名称で、市場に広がりつつある製品で、空間に画像が浮かび上がる SF のような表示装置です。

コンビニのセルフレジとか、高級トイレの操作パネルなど、不特定多数が利用するパネルを、非接触で操作することができます。(下の写真)

今回はこの【空中ディスプレイ】を簡易に自作してみました。

セブンイレブン非接触レジ/Impress Watchより

刈谷ハイウェイオアシス/くるまのニュースより

画像が浮かぶ光学プレート

空間に画像が浮かび上がるのは、特殊な光学プレートのお陰です。

空間に画像が浮かぶ仕組みは、別の記事に記載しますので、興味のある方はこちらを参考ください。→→→仕組みはこちら


今回使用した光学プレートは、 (株)パリティ・イノベーションズの「パリティミラー® 」の物です。

これ以外にも、(株)アスカネットの「ASKA 3D」、日本カーバイド工業(株)の「空中ディスプレイ用リフレクター」なども、同様の光学プレートを作っています。



そして今回、映し出したいのは、これ。
アクアリュウムです。

『スマホに動画を表示して、机の上をゆらゆらと熱帯魚が泳いだらいいな~♪』
こんなイメージです。

この空中表示に、空間の位置情報を検知するセンサーを組み合わせたものが【空中スイッチ】と呼ばれるものです。

今回は空中を魚が泳ぐだけで良いので、モーションセンサーなどの検出は行いません。

製作手順

設計は Solidworks で行いました。

空中に結像する映像は、パリティミラーなど光学プレーを中心にして、液晶画面の対称位置に現れます。

通常は、ユーザー視線や液晶画面の位置など、光学的な要件をしっかりと詰めて設計を行います。

今回は装置として小さなものでもあり、「見えなければ見える位置へ動かす」 使い方としました。

そのため光学的な設計は行わず、単純に光学ミラーとスマホ画面の関係を45度の位置関係としました。
これにより空中に結像する画像は、パリティミラーを中心にスマホ画面と対称の前側45度の位置に結像します。

構成は簡単。
直角三角形の垂直面にミラーを貼り付け、斜面にスマホをのせるだけで、出来上がります。

設計が終われば、いつものように 3Dプリンターで部品を製作します。
今回使う 3Dプリンター は Zotrax M200です。

部品6点の印刷に、およそ14時間かかりました。

プリントが完了したら、サポートを除去してネジを締めで組み立てます。

パリティーミラーは最初のレイアウトに問題がなければ、光学的調整を必要とせず空中映像を簡単に浮き上がらせることができます。

3Dプリンターのレベルでも十分です。

液晶画面として、スマホを後ろに 載せれば完成です。

3.さて、結果は・・・

今回の目的の『空中を泳ぐ熱帯魚』

結果は残念ながら、うまく表示することが出来ませんでした。
(正面斜め上からの写真は、実際のアクアリウムを表示させています)

理由の一つが、光学プレートでは、スマホ程の細かい画像は表現出来ないこと

スマホの画面は5.8インチですがたいへん高精細で、アクアリュウム中の小さな熱帯魚もクッキリ表示されます。

しかし空中ディスプレイの光学プレートでは、まだ素子の間隔が荒く、細かい映像は全てぼやけて、つぶれてしまいます。


もう一つの理由が、光量(輝度)の不足

机の上で熱帯魚を楽しむには、スマホの明るさでは、とても足りません。

確かに空中に画像は浮かんでいるのですが、ぼんやりとして、違いが判りません。

そのため日常で使う場合は、輝度の高い表示装置を使う必要があります。


ならば、、ということで、細かい画像が苦手ならばシンプルな画像に変えてテストしてみます。

4.ホントに浮いている!


そこでアクアリュウムは断念して、空中画像の確認だけ行います。

シンプルな画像に変更して、、部屋を暗くして見たのがこの写真です。

はっきりと空間に画像が浮かんでいます。

スマホの画面は下向きに45度倒れているので、このアングルからは見えません。

画像は空中に浮いているのですが、正面視の画像のため、それが伝わりません。

空中画像の特長の一つとして、『正面からしか見えない』 という特徴がありまあす。
見える方向には、ある程度の幅は有るのですが、空中に画像が結像するため、横からは
全く見えないのです。
そのため、空間に画像が浮かんでいる雰囲気を出そうと横から写真を撮ると、何も映らないのです。

5.結果報告

今回最初のコンセプトは、『机の上で泳ぐ熱帯魚を楽しむ』ことでしたが、それは実現できませんでした。

今の時点では、スマホレベルの細かい画像は厳しいようです。
また大きなデスク上に表示するには、かなりの輝度が必要になります。

しかし机の上を熱帯魚が泳いだり、飛行機が飛んだりする様子は、たいへんワクワクした未来感があります。

そして非接触で操作が出来るメリットは、コンビニのレジやトイレに限らず広い用途があります。

実は弊社では、空中ディスプレイ関連のメーカー様と、数年前から協業させて頂いています。

これまでに、複数アイテムの空中 表示装置の、設計や試作の対応をさせて頂きました。

実際の設置例として刈谷のハイウェイオアシスに 『トイレ空中浮遊スイッチ』が設置されています。
青文字をクリックするとその情報がみられます。


トイレ用リモコン・・・高級トイレ用リモコン。刈谷ハイウェイオアシスに設置済み

車載用センターコンソール・・・展示会モデル、運転席/助手席に対して回転対応

エレベーター用操作パネル・・・客先本社ビルに設置済み

ATM用テンキー・・・展示会モデル

その他各種操作盤・・・実証実験モデル。 関係施設に設置済み

今後も可能性のある実験を行っていきます。

※Solidowrks を活用して設計した事例を、分野別にたくさん掲載しています。
  →→→ここから見に行

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