【Solidworks】円筒カムのモデリング・・・不可でした
掲載後記
まず初めに、完全な形でのモデリングはできませんでした。
そのため円筒カムのモデリングが目的の方は、ここは飛ばしてください。
不具合の状況は記載しましたので、工夫次第では可能になるかもしれません。
またカム曲線の書き方など、参考となる部分もありますので、掲載をしています。
機構の設計をする場合、力を伝える主な手段として『歯車』『リンク』『カム』などがあります。
これらを組み合わせて目的の動作をさせますが、それぞれの違いは以下と思われます。
『歯車』は回転力を連続的に伝える手段として、
『リンク』を所定の位置へ物体を移動する手段として、
そして『カム』は力の向きとタイミングを変える手段としてです。
カムは、回転動作を別の動作に変えて、尚且つタイミングも任意に変えられる便利な機構です。
そして板カムに代表される平面カムや、円筒カムに代表される立体カムなど、幾つかの種類があります。
今回はこの円筒カムのモデリングを行ってみます。
下書き用の表を作成する
まずは円筒カムの母材となる円柱をモデリングします。
一先ず直径φ50mmで、高さ100mmの円柱とします。
円筒カムは、円柱側面に傾斜したカム溝(山)が付けられた形状です。
そのためまず、どんなタイミングのカムにするかをスケッチしてカム曲線図を作成します。
円筒底辺の位置に直線を引いて、直線の長さを『=PI*50』と定義します。
寸法欄に『PI』と入力すると、Solidowrks では『円周率=3.14・・』になります。
これで底辺の水平ラインの長さが、円筒の円周と同じ長さになりました。
次に水平線の一番左に1本垂直線を引いて、その線を<直線パターン>を使って並列配置します。
<直線パターン>の距離の欄には、『PI*50/36』と入力します。
並列配置の数には『37』と入力します。
これは横軸の線を、10度ごとの360度にするためです。
配置数が『37』になるのは、0度のラインも含むためこの数字になります。
解りやすいように90度毎に線種を変えておきます。
これで下書き用の表が出来ました。 スケッチを終了します。
横軸が角度、縦軸が高さになります。
なぜこんな下書きを書くかというと、これから書くカムの傾斜角度を、感覚的に分かり易くするためです。
横軸は角度(°)、縦軸は長さ(mm)で単位が違います。
しかし横軸は同時に円周長でもあるため、縦横ともに長さ(mm)で単位が揃っており、カムの傾斜の度合いが把握しやすいのです。
カム曲線図の作成
それでは早速カム曲線図を描いてみます。
新しいスケッチを作成し、溝カムの中心線を書いていきます。
一先ず図のようなカム曲線を描いてみました。
直線から傾斜への移行は、本来なら『SINカーブ』が一番良いのですが、簡易にRで繋いでいます。
カムの中心線が書けたら、それをオフセットしてカム溝をスケッチします。
溝の幅を10mmとしたカム曲線図がこちらです。
スケッチを終了します。
ラップコマンドだけじゃ不完全?
書いたカム溝を円柱に巻き付けるため、<ラップ>コマンドを使います。
<挿入>→<フィーチャー>→<ラップ>を選択し、ラップタイプは「掘り込み」、ラップ方法は「理論値」を選びます。
深さは5mmで作ってみましょう。 できたのがこの図です。
見たところ、ちゃんとできているようですが・・・・
これ、実は不完全なカム溝でした。
何が問題かというと、カム溝は中心へ行くにしたがって 溝幅が狭くなっているのです。
確認のため、溝の深さを20mmにしてみましょう。
出来たのがこの図です。
ここまで来ると、少し違和感がありますね。
水平部分の溝はちゃんと同じサイズで彫り込まれていますが、傾斜部分は変形しているようです。
どのくらい変更しているか、カム溝の断面で見てみます。
カム外周のエンティティを取り、傾斜に垂直な面を作ります。
その断面図が下の図です。
溝の形が、変な台形になっていました。
本来なら幅10mm×奥行20mmの長方形になるはずです。
外周部分でこそ10mmの溝幅ですが、中心に近づくに従い狭くなっていました。
これは溝カムだけではなく、カムが突き出したタイプでも同じ状況でした。
ラップコマンドだけでは、不完全な円筒カムになってしまいました。
他の方法を併用してみたが・・・
ならばと言うことで方法を変えてみます。
<ラップ>コマンドは、外周面ではちゃんしているので、掘り込みだけを<カットスイープ>で行ってみました。
外周面のカム溝を<3Dスケッチ>で取り、ガイドカーブに設定しますが、うまくいきません。
溝深さによってはエラーになったり、カム溝の先のほうがねじれてしまったり。
更に別の方法として、<サーフェスの厚み付けカット>なども試してみます。
この場合も結果はNG。 サーフェスをオフセットすると、オフセットした側が狭くなっていました。
今回はうまくいきませんでした
いろいろ試してみたのですが、溝幅を一定にすることが出来ませんでした。
きっと違う方法もあると思いますので、解決先を探してみたいと思います。
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