干支の寅年時計を制作しました

来年2022年は寅年。

今年もまた干支の時計の、丑年 から 寅年 のデザインに切り替えました。

製作のプロセスをご紹介しておきます。

まずは本体となる時計の駆動部。以前に3Dプリンタで製作したもので、
糸でぶら下がった錘の重力で歯車が回ります。 一応ひげゼンマイもプリントして
からくりチックな時計です。
全ての歯車はちゃんと連動しますが、錘の長さの関係で10分が限界、正確な時刻は
別の時計で確認しています(^^

① まず初めに、寅のデザインを決めます。
画像製作ソフトのillustrator でデザインを作成し、そのデータをCADに
取り込むためDXFという中間ファイルに変換します。
そのdxfデータを、3次元CADの Solidwroks に取り込み、3Dモデリング
したのが下の写真です。

② 次にモデリングしたデータを3Dプリンターで印刷するために、
今度は stlという加工用のデータに変換します。
3Dプリンタやマシニング機械などの加工機は、3次元CADとは
別のデータ(言語)で処理されるため、加工機用の言語に変換して読み込ませます。

③ 今回使用する3Dプリンタは、右の ダヴィンチ 1.0 
XYZプリンティング社製の3Dプリンタで、これは初期のものですが
弊社では今でも活躍しています。
3Dプリント時の難点の一つにサポート除去があります。
サポートとは必要な形状を得るために補助部分をプリントすることで、
プリント完了後、それを除去する手間が必要なことです。
しかしこの ダヴィンチ 1.0 は、平面ならばサポートが不要なため、後処理が
楽なのです。


④ スライスソフトで配置を検討します。
このタイプの3Dプリンタは 一般に FDM と呼ばれるタイプの3Dプリンタで、溶かした
樹脂を一筆書きで、1層ずつ積重ねて立体を作っていきます。
そのため 3D-CAD側から受けっとった STL データを、1層ずつの輪切りにしたデータに
置き換えるのがスライスソフトです。
スライスデータの作成は自動で行いますが、プリントする形状や大きさに合わせた配置をしないと
プリント時間が余分にかかったり、サポートの除去が大変だったり、外観が悪くなったりと、
造形に大きな影響を与えます。 これらの情報は、また別の機会に紹介させていただきます。

下は 寅 の文字を分解して、平面状に配置したものです。

⑤ スティック糊を塗ります。
このプリンタは平面部分のサポートが不要な代わりに、プリント始めの段階で
テーブルとプリント物が剝がれないようにするため糊を塗ります。
この糊は接着する為でなく、平滑なテーブル面を少しザラザラにして、溶かした
樹脂が乗った時に樹脂が動かないようにする為のものです。

⑥3Dプリントします。
スタートして3時間ほどでプリント完了。
この程度の高さでも結構時間がかかります。

⑦できたパーツ3Dプリンタから取り出して、寅の文字を接着していきます。
接着した部品はクリップを使い固定します。

⑧接着剤が固まったら、時計の駆動部に取り付けて完成です。

参考までに今年付いていた 丑年 のお面です。
メカ丑さん、今年一年ありがとうございました。

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