【トイレの立上り/着座の介助】トイレリフト

「排泄」は健康につながる大切な行為です。

しかし高齢になり足腰が弱くなると、座った姿勢からの立上がりや、ゆっくり腰を下ろすことが難しくなります。

そうなるとトイレでの排泄も一苦労、時にはトイレに座ったままトイレから出られない事例も見受けられます。

高齢化社会を迎えた日本では、これから解決していく課題の一つとされています。


要介護度の高い人は別ですが、少しお尻を持上げることが出来れば、多くの人は自力で立上がることが出来ます。

今回はそんな、『人の立上がり/座りを介助する』トイレリフトです。

住宅設備メーカー様の依頼で、設計/製作を行いました。


弊社では機構設計と動作回路/ソフトの設計、及び部品の試作と組立を行いました。


◆導入に至った背景
高齢化社会を迎え、高齢者の筋力の低下や、施設での介護者の不足など、「排泄」に伴う問題が増えています。

この装置は、便座を電動で上下に昇降することで、立ち座りをサポートする器具です。

お客様にのご要望はコンパクトであること。

一般家庭のトイレには、大きなリフトを設置するスペースはありません。
また介護施設においても、介助者が無理の無い姿勢をとれることは重要になります。

トイレの限られた空間で設置するため、出来るだけ幅と奥行を抑えたいとのご要望でした。

◆解決策

市場の製品は床置きタイプが主流で、奥行きに比較的広い設置スペースが必要になります。

また日本の一般的なトイレは、便器の後ろに水のタンクが配置されており、タイプによっては設置出来なくなります。

そこで今回は「便器に載せる」方式としました。

これにより奥側の水タンクによる制限が無くなりました。


横幅については、550mmほどを狙いました。

これは、温水シャワーなどの操作部が張り出しているため、このサイズであれば便座と同じ幅となるためです。

「便器に載せる」方式で、横幅を550mmとすることで、一般家庭でも問題なく設置出来るリフトとなります。


便座を昇降させる機構は、4節のリンクをモーターで動かしています。
リンクの配置の工夫で、幅方向を小さく抑えています。

◆効果
「便器に載せる」タイプとしたことで、設置スペースを抑えることが出来ました。
一般家庭においても利用できるサイズとなっています。

半面、床置きタイプと比較して、ぐらつきなど少し安定性に劣る部分がありました。

筋力の劣る高齢者にとっては、しっかりとした剛性感は安心につながります。

「小型だけど、しっかりして安心感がある」そこがポイントになるのが解りました。

次の設計では、この部分を考慮した改良を行っています。

◆弊社が対応した業務
3Dモデリング(Solidworks)、筐体設計、機構設計、電気回路設計、動作ソフト、試作(樹脂、精密板金、歯車、電気基板、ソフトデバック)


その後の改良

この試作品はメーカー様が、実際に介護施設に設置して数か月間利用をしてもらいました。

そのお陰で、健常者では得られない貴重な意見、要望を頂くことが出来、一部の改良を行いました。

更なる改良や製品化については、時期を見てメーカー様で判断をされることとなります。


実際に社会で使われる為には、実はこれからが大変。

多くの試験と改良を繰り返しながら完成度を上げて、やっと日の目を見ることが出来ます。

高齢化社会を迎えた日本だけに、楽しみな商品です。