【トレイローディング機構】 ”質感高い”動作ができます


オーディオやパソコンなどのdisc の出し入れには、トレイ(TRY)によるローディングが良く使われます。
高級オーディオなどでは、トレイをゆっくり開き静かに閉じることで、高級感のある動作演出しています。

今回はこのトレイローディング機構について記載します。

1.トレイローディングのメリットとデメリット

トレイによるローディングを使った製品と、メディアを直接挿入するスロットイン製品とでは、以下のような違いがあります。

トレイの場合のメリット

  • 高級感を演出できる
  • 1つのトレイで複数の規格品に対応できる
    CDのように12cm、8cmといったサイズが違う物でも、トレイ形状を変えることで収納できます。
    また異形な形状やゴムなど柔軟な物でも対応できます。
  • 載せるだけなので、操作性が良い
    装置の入り口を狙って入れる必要が無いので楽です

反面、デメリットもあります。

  • 対象物だけを挿入する場合より、サイズが大きくなる
    当然ですがトレイ分だけ幅と厚みが増えます。
    一般的に 厚みが増すことは製品ダメージが大きくなります。
  • 部品数が増えコストアップ要因となる
  • 垂直方向や裏向きには対応できない

弊社においても、メディアを直接挿入するダイレクトイン機構と、トレイにより引き込む機構、それぞれ各種対応してきましたが、比較的お勧めできるのが、トレイによるローディング方式だと思います。

2.トレイローディング機構の実例

それでは過去に弊社で設計、製作した「インフルエンザなどの検査装置」を基に、トレイローディングを説明します。

定量リーダー(インフルエンザ検査装置)

これは唾液に含まれる微量のタンパク質を検査する医療器装置で、インフルエンザなどの検査に応用できます。

カードリッジに唾液を滴下し、そのカートリッジをトレイで引き込み、装置内部で光学的な検査を行います。

カートリッジには複数のタイプがあり、トレイの形状により ある程度共用しています。

機器の詳細はこちらのリンクから 「定量リーダー」 

*注  ホームページ掲載のお客様の製品については、契約終了後 概ね5年以上経過し、尚且つ守秘義務契約・範囲外のものを掲載しております

3.トレイローディング機構設計のポイント

この機構を設計する場合の、ポイントや注意点を記載します。

これ以降は、機構設計者向きな内容となりますので、興味の無い方は飛ばしてください。

1).ガイドスパンを長くとる

トレーを安定して出し入れする最大のポイントは、トレイのガイドスパン(長さ)を出来るだけ長くすることです。

トレイとガイドとの関係を理解するため、まずは装置の大まかな状態を、図-1に載せます。
トレイとそのガイド部品、モーターの駆動位置を表示したもので、左側がトレイ収納状態、右側がトレイ・イジェクト状態です。

図-1

”長さ”がポイントとなるので、少し細かいですが寸法の入った図で説明を行います。
下の 図-2 が、ガイドスパンの寸法です。

図-2

水色のトレイは、駆動側2カ所、従動側2カ所の、合計4か所でガイドをされています。
この時、「駆動側のガイドスパン=60mm」が、「トレイの幅=48mm」より、長いことに注目してください。

こういった片側駆動(トレイ左右のどちらか片方を駆動する方式)の場合、動作をすると駆動側が先行し従動側が遅れた状態でスライドします。
実際のトレイは、斜めの姿勢で出入りしているのです。

そのためトレイの幅に対して、駆動側のガイドスパンが短いと、トレイが斜めに回転した状態でスライドすることとなり、大きな摺動ロスが発生してしまいます。

また当然ながら駆動側のガイド位置と駆動点は、近いことは大切なことです。

2).どのくらいのガイドスパンがいいの?

どのくらい傾くかは、「駆動側のガイドスパン」と「トレイの幅」の比率によって変わります。

それではこの比率を、どのくらいにすれば問題にならないでしょうか。

いろいろな条件にもよりますが、disc やカートリッジなどの軽いものであれば、

【駆動側スパン=1、トレーの幅=2~3以下】

を目安として良いのではと思います。
条件が良くてもガイドスパンの最大3倍まで、出来れば2倍以下が目安です。


その意味では上図のトレイのガイドは、かなり余裕のある安定した動きをする比率です。

どうしてもこの比率が厳しくなる場合や、重いものを載せる場合は、ガイド部分に高精度の軸受けを使います。
クリアランスを攻めることで、傾きを制限する手法です。

それでも厳しい場合は、根本的に片側駆動から両側駆動に、駆動方法を変更します。


3).従動側は何かするの?

駆動側の要件に比べ、従動側は比較的 自由です。
むしろ駆動側のように従動側を精度よくガイドをしてしまうと、逆に動きません。

これはどんな物でも、【3点で位置が決まる】からです。
机の上に平な部品を置いても、当たっているのは厳密には3か所なのです。

上の図-2の場合、トレイの駆動側2カ所は、左右(X軸),上下(Z軸)の2方向をしっかりガイドします。
・・・前後(Y軸)方向へはスライドする・・・

そして従動側のどちらか片側(一般的には前側)は、上下(z軸)のみのガイドさせて、左右(X軸)はフリーにしておきます。

スムーズにスライドさせるには、この3か所でガイドをすることです。

実際には従動側の後ろ側にもガイドを設け4か所としています。
4か所目のガイドはクリアランスを大きく取ることで、通常動作では接触しません。
イジェクト状態の時、何らかの力でトレイに大きな力加わり変形した時の保護が目的です。

4.まとめ

トレイのローディング機構を設計する場合は、

 1.ガイドスパンを出来るだけ長くする

 2.ガイド部分は、駆動側2カ所、従動側1か所の3か所とする

この2点に気を付けて設計をしてみてください。

※この機構などを活用して設計した事例を、分野別にたくさん掲載しています。
  →→→ここから見に行く

株式会社アイディック3D
〒468-0015 名古屋市天白区原3-304-1
TEL:052-804-9811 / FAX:052-801-5881