【Solidworks】部品の原点を移動する

設計を進めていると、部品の原点が意味のない位置に来てしまうことは良くあります。

一旦設計が完了したモデルを変更する場合や、お客様の別のCADで作ったデータをもらう場合などです。
それ以上変更が無い場合なら良いのですが、変更したり他人が利用するには不都合が出てきます。

CADによっては原点を気にする必要の無いものもありますが、 Solidworks では、原点を考慮したアセンブリは重要になります。

今回はそんな時に有効な方法をご紹介します。

アセンブリ内で原点がバラバラだと・・・

アセンブリの中にはいくつもの部品が入っています。

各部品の原点位置がバラバラだと、部品形状を変更すると部品がどこかへ飛んで行ったり、合致エラーの嵐になってしまうことが有ります。

部品をモデリングするときの原点は、本来なら「その部品の機能を最も表す起点」とするべきです。

しかしそれに拘ると、アセンブリ時の合致が大変なことと、また修正や変更の度にその手直しが必要になります。

この手直し作業は実は結構手間がかかり非効率です。

そのため部品の原点とアセンブリの原点は、ユニット単位ならば一致させたほうが、扱い易いデータとなります

他社へファイルを送る場合は、原点がバラバラな状態より原点が一致しているほうが、より親切です。

アセンブリの初期は、部品原点はバラバラでいい

前項で「部品の原点はアセンブリの原点に合わせたほうが良い」と書きました。
しかし設計の初めの段階では、部品ごとに原点を決めてモデリングしたほうが良い場合が多いです。

それは設計者は、「部品の機能から形状を決める」からです。
他にも、回転した状態や斜めの形状などは、一旦、水平/垂直に戻してからモデリングしたほうが早いからです。

そして一度アセンブリを完成させてから、まとめて原点を一致させる手順となります。

前置きが長くなりましたが、「バイクのフレーム」を例に、原点の移動をしてみます。

このCADデータは、無料で使える3Dモデルサイト「GrabCAD」を利用しています。

GrabCADサイトはこちら

設計の初めは、こんな感じ

設計手順として、サドルやハンドルの位置を決めて、タイヤやエンジンを配置して、フレームのレイアウトが完了します。

その時のフレーム部品の原点がこんな感じになったとします。
このアセンブリファイルの名前を、『bike-frame』とします。


アセンブリの原点と「フレーム」の原点は一致していますが、「スイングアーム」と「ダンパー」の原点はバラバラです。

これをアセンブリの原点に統一していきます。
同時に現在のアセンブリ原点位置では あまり意味が無いため、新たにスイングアームとの連結位置へ、アセンブリ原点を移動します。

部品の原点をアセンブリ原点に移動する

1).まずはアセンブリの原点を移動する

アセンブリの原点をするために、新たなアセンブリを開き、そこに『bike-frame』のアセンブリを移動します。


bike-frame  のアセンブリを「左へ555mm、上へ500mm」移動すると、スイングアームとの連結位置がちょうどアセンブリの原点になりますので、その分だけ移動します。
(アセンブリの原点を見直す必要が無ければ、この部分は飛ばしてください)


2).「part」形式で保存する

新たに作ったアセンブリを、適当な名前で保存します。
ここでは「new-bike-frame」としました。

この時、保存の形式を 「Solidworks Part」形式(.sldprt)」で保存をします。

『アセンブリ』ではなく、『部品』として保存するのがポイントです。



3).マルチ部品から単品の部品に分ける

保存した「new-bike-frame」を開くと、先ほどまでの部品ファイルが、-solidというソリッドボディになっています。

これは『マルチボディ』といって、一つの部品の中に複数のソリッドが入っている形式です。
そしてマルチボディとは言え、部品形式なので、原点は1つです。

ここからソリッド1個毎に部品ファイルを作ります。

下の図は、初めがフレームの部品ファイル、次がスイングアームの部品ファイルです。
どちらも原点が移動しています。

4).アセンブリを組み直す

マルチボディから必要な分だけ部品ファイルを作り出したら、新規でアセンブリを組み直します。

新規のアセンブリファイルを開き、部品をどんどん放り込むだけです。
この作業は、原点が全て同じなので手間はかかりません。

これで部品の原点移動は完了です。

※Solidowrks を活用して設計した事例を、分野別にたくさん掲載しています。
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