【Solidworks】厚みがゼロのジオメトリについて
SolidWorks でモデリングをしていると、時々こんなエラーメッセージを目にすることが有ります。
「厚みがゼロのジオメトリが作成されるため、このフィーチャーの作成は実行できません」

「む、、ジオメトリ? それってどうな形状?」
「もう少し解り易い日本語だとありがたいけど・・」と思ったりします。
今回はこの<ジオメトリ>と、このメッセージが出た時の対処法を書いてみます。
ジオメトリって、何?
そもそも<ジオメトリ>ってな何でしょうか?
<ジオメトリ>を調べると<幾何情報>と出てきます。
「幾何情報?・・・」
何だかエンドレスになりそうなので、ここは設計者目線の解釈に留めて書いてみます。
『 ジオメトリ とは、直線や曲線などのスケッチ成分』と考えて良いと思います。
そして『 厚みがゼロ とは、スケッチ線が重なっている』とも言えると思います。
スケッチをした時に、直線が重なり 2重線になっているとモデリングが出来ませんよね?
この状態になるため、Solidworksはエラー表示をだしていると思います。
その他、『スケッチ成分が、面と重なっている』場合も、厚みがゼロになります。
ソリッドボディが成立するには・・
もう少しだけ詳しく書いてみましょう。
円筒なり、四角柱なりの<押し出し>が成立するには、「閉じていること」が条件です。
SolidWorks 的にはこれを<マニホールド形状>と書いてあります。
下のようなごく普通の立体形状を指します。

対して今度は、<ノンマニホールド形状>というものがあります。
Solidworks的にはこれを、『連続性や一貫性を欠いた形状』と書いてあります。
が、要は 『閉じていない形状』のことです。
具体的には下の図の形状です。
円柱と三角柱が水色で示している1本のエッジだけで接しており、連続した形状とはなっていないためノンマニホールド形状となります。
(水色で示しているエッジが三角柱の側面2面と、円柱の円筒面の3つの面の境界となっている点も、マニホールド形状の定義から外れていることになります)

厚みがゼロの事例
以下に『厚みがゼロ』の事例をいくつか挙げ見てみます。
1.円筒面と平面が接している状態
溝の底から円柱を押し出します。
そして溝の幅と円柱の直径が等しいとします。
この時、円柱の円筒面と溝の側面が両側とも、それぞれエッジ1本で接している状態となるため、厚みがゼロのジオメトリとなってしまいます。
それまでエラーは出ていなかったのに、スケッチの寸法関係を変更したら「厚みがゼロのジオメトリ」エラーが出てしまったといった現象はこれが原因である可能性があります。

2.角のエッジだけで接している形状
下図のような押し出しカットしようとしているスケッチの形状が、角の部分だけで面に接しているような形状です。
角部が厚みがゼロのジオメトリとなってしまいます。

3.点で接している状態
エッジではなく、点だけで接している状態でも、<厚みがゼロのジオメトリ>となります。

厚みがゼロのジオメトリの解消方法
『厚みがゼロ』にならないためには、ちゃんと厚みを持たせるか、あるいは隙間を空け、エッジや点だけで接している状態を解消してやる必要があります。
以下にいくつかの例を示します。
1.厚みを持たせる
<厚みがゼロ>になっている部分の寸法を修正して、溝に入り込むサイズの形状にします。


2.隙間を空ける
点やエッジで接している部分に隙間をあけます。


3.マージしない
一体のソリッドボディにせず、別々のソリッドボディとする方法です。
一体では無いので、例え、点で接していても、エラーとはなりません。
やり方は、押し出しなどのフィーチャーを実行する際、「結果のマージ」のチェックボックスのチェックを外します。

但しうしてできたモデルは、ノンマニホールド形状のため、寸法測定や解析などには使えません。
大まかな形状の検討さえできればよいと割り切る場合は、選択肢の一つとなり得ます。
参考までに3Dプリンターのスライサーソフトなどは、ノンマニホールド形状を読み込ませても、問題なく3Dプリントできる場合が多いです。
断面表示が出来ないときは・・
モデルを断面表示するときに、「この位置で断面図を作成すると、不正なボディーが・・・」といったエラーが出るときがあります。

この現象も<厚みがゼロのジオメトリ>によるものです。
こちらの対処方法は、下のリンクに詳しくかいてありますのでご参考ください。
※Solidowrks を活用して設計した事例を、分野別にたくさん掲載しています。
→→→ここから見に行く
株式会社アイディック3D
〒468-0015 名古屋市天白区原3-304-1
TEL:052-804-9811 / FAX:052-801-5881